GrannyLapis’s diary

今まで経験してきたこと、今日からのこと、いろいろ思うままに記していきます。

大井川鐡道への旅

大井川鉄道は今一部の区間を除いて台風15号被害のため不通になっています。テレビなどでの報道が一切なされていないようなのが気になるのですが、一日も早く全面復旧して、来る紅葉シーズンに大勢の人を運んでほしいと望んでいます。

その台風15号の被害がでる直前に旅ができました。

東海道本線金谷駅で下車、そこから大井川鐡道本線、井川線と乗り継いでずーっと以前から行ってみたかった奥湖上駅に降りたって、すばらしい風景を望んでこられたのです。

テレビの旅行番組で見たのか、旅の雑誌で見たのか、奥湖上駅を見下ろすロマンチックな風景を一目見たときから、ここに絶対に行くと思い続けていたことが実現した瞬間でした。

折しもこの日も台風14号が去った直後で、金谷駅もまだ小雨交じりで、線路に沿って流れる大井川の上には厚く霧が立ち込めていて近くの山も見えていなかったのですが、日本唯一というアプト式鉄道で上へ上へと上るにつれて霧は晴れ、青空も見え始め、奥湖上駅に辿り着いたときは太陽の光がまぶしい程に私を照らしてくれていたのです。

周囲を湖に囲まれ、まるで銀河鉄道に乗って降り立った駅のようで、メルヘンチックな奥湖上駅の佇まい。しばらく駅周辺を歩き、事前に調べていたあの景色が望めるビューポイントまで歩くことにしました。

でも、数十人はいたかと思うほとんどの乗客がこの駅で降りたのに私と一緒の方向に歩く人は二人だけ。それも若い。他の人たちはどこに行ってしまったのか気配さえ消えていたのです。誰も頼る人のいない一人旅ですし少し迷いましたが、ともかく意を決して歩き始めました。線路の脇にある細い歩道を湖を見下ろしながら進み、前方に見えるトンネルの脇の白い階段を登ればビューポイントへ行けるはずです。すごく急な階段でした。その上、台風の雨の後だったので、濡れた木の葉が舞い落ちていたりしていました。すべらないように細心の注意を払いながら上りました。階段を登りきると次の山に続きます。ここにも階段が付いているのですが、更に急勾配で手すりを掴みながら登っていかないと後ろにのけ反り落ちそうでした。いったいいくつの階段を登ったでしょう。途中で一瞬へこたれそうになりましたが、大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら何とか上り詰めました。時間にすれば20分もかからなかったでしょうが、到達したときには久しぶりに膝がガクガクで汗びっしょりでした。

最終地点に辿り着いてから少し歩くと、眼下にあの景色が広がっていました。感動です。この感動を分け合う人がいないけれど、思わず「ワーッ」歓声を上げてしまう程美しい景色でした。

帰ってきてから友人たちに写真を送りました。みな異口同音に「わたしも行ってみたい!」の返事が来ました。ビューポイントへは車やバスでも行けるようです。でも私のように日頃の雑踏から逃げ出し、時を忘れ、ゆったりと大井川鉄道に揺られ、体力勝負の急な階段を登って行くのでしたら、どうかお早目に。

 

大井川鐡道のHPによれば今日現在もまだ本線は不通のようですが、井川線は明日10/8から千頭から奥湖上駅の次、接岨峡温泉まで上下線とも運転再開になるようです。車やバスを乗り継げば紅葉の中の奥湖上駅が望めるということになります。車内では車掌さんがガイドをしてくれます。駅に止まるたびに車掌さんが降りて、ドアを一つ一つ開け、発車の時には閉める、そんな電車です。またがんばって行ってみたいと私は思っています。